My Favorite 塔7月号

作品1、作品2、若葉集より。

<GOLD Favorite>
両指をそつと組み合はするごとく祈れわたしの貧しきあばら  梶原さい子
靖国も愛国も知らずみづみづと花ひらきたり基準のさくら  豊島ゆきこ
そのうへの苺かならず甘くあれ燭をふき消すをさな子のため  久保茂樹

<SILVER Favorite>
星空のやうでありたし泣き寝せる子を抱きゐるわが懐の  千名民時
新聞を綺麗にたたむこの人は丁寧ならむ人捨つる日も  秋場葉子
コーヒーに澱んだシュガーは戦争で潤う利益のごとくに甘き  北辻千展
ふり向けば父母はまだ手を振りておりまっすぐなまっすぐな道なり  邑岡多満恵
幽霊が辺りを漂うビルの群疲れた女が昼食を食む  油野勤
検査値の結果の良くて病院へ病人顔を置いて帰りぬ  西村清子
春深みカップに注ぐ牛乳も彫刻のごとき陰影を持つ  本田光湖
カスタネットたたきたくなる春の夕父母居らず猫と暮らして  田中律子

<BRONZE Favorite>
夜と昼を逆さまに生きて青年の未来に咲かす花のいろ何  かざまきみこ
妻を亡くしし人十日経て出でて来ぬ許されし休暇は十日であれば  荒井直子
子を思う親の気持ちはそのむかし目玉おやじを生みにけるかも  松村正直
豆電球の首のあたりに溶接のあとあり首は大事なところ  深尾和彦
本名というも一つの記号にて診察券を揃えて仕舞う  川本千栄
さりげなく眼鏡外してレンズ拭く詰まらぬ話聞かされていて  山本勉
鳴り止みし電話の音をそこここに浮かべてゆつくり暮れてゆく部屋  筑井悦子
死ぬ前にわれの後ろに誰ゐると父は言ひしか頭持ち上げ  北神照美
気に入ったヤカン一つが見つからぬこだわり捨てれば生きやすかろう  あかり
いらいらと子を打ちたるも愛情とくらい記憶の六畳の闇  数又みはる
携帯はへその緒なりぐらぐらと揺れている子と吾を結べり  吉川敬子
乳くさき雨に湿りし交差点に目瞑りて聞くくわくこうの音を  大河原陽子
小窓開けて逢いたき人を待つてゐる死なねば逢へぬ人は尚さら  大畑敏子
その昔こころ病む人住んでをり「天文学者」と皆に好かれし  古賀公子
ガチヤガチヤと全身装備鳴らしつつ米兵があゆむ果てなきイラク  助野貴美子
人ひとり生きてゆくのに様々な音たてること深夜の水流  芦田美香
庭にみる妻の足跡こんなにも小さかったか そっと掌のばす  明石森太
選ばれし短歌少なき月なれば同じ少なき人の歌読む  鈴木俊春
30を過ぎても母に弁当を作らせる女性と何を話すか  夏目空
側にゐてとどくことなき悲しみに爪を立てをり夏蜜柑むきつつ  安藤純代
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by 31life | 2007-07-18 21:17 | My Favorite  

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