短歌研究 9月号

短歌研究詠章 高野公彦選

【準特選】
錆びつきし自転車乗ればどこからか淋しき音の静かに出でぬ

誰もゐぬ居間に座りて淋しさと自由のあはひに背骨を鳴らす

両足を歪んだ河に沈めればみづ淋淋と足に巻きつく

淋しきは流れ消ゆること今日もまたタンクの右横レバーを捻る

ひたひつけ外の淋雨を眺むれば小さな苗木はしなだれ揺れる  飯村みすず

●選後感想(高野公彦評)
「淋」という漢字を自ら題として読んだ五首。
全体を流れる透明な空気に、作者の孤独が溶け込んでいる。
「淋しさと自由のあはいに背骨を鳴らす」「みづ淋淋と足に巻きつく」
など身体感覚を詠む事で、歌に深みが出た。

新人賞予選通過作品

いきている証欲しくば天睨み恨めしき色をつけよ蒲公英

我が知らぬ世界を昨日照らしいし太陽は我と再会したり  飯村みすず
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by 31life | 2007-08-25 22:24 | 掲載短歌  

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