塔 10月号  掲載短歌

一度だけ父が「イタイ」と呟くのを聞いた気がする死ぬ二週間前  飯村みすず

「子は生きてゐることが親孝行だ」父は優しい象の目をして

生きてゐる人間のはうが恐いのに死体はどうして恐いのだらう

亡父(ちち)の横で「昴」「群青」口ずさめば妹弟(きやうだい)までも唄へる必然

車中にて父に激しく叱られき夢から覚めて涙止まらず

盛岡を捨てたと父は云つたけど私が盛岡に捨てられたのだ

出産を待たずに逝きし父よ 今 君が初孫ここに掲げむ
[PR]

by 31life | 2007-10-15 15:22 | 掲載短歌  

<< My Favorite 塔10... 塔 9月号 掲載短歌 >>