My Favorite 塔 5月号(作品2花山多佳子選)

作品2 花山多佳子 選欄 より

手を叩きながら媼のうたう唄はいつもつづく感じに終わる   保村たまき

寒空にアキレス腱を伸ばすとき少女はなべて怖ろしくあり   金田光世

東京は大都市にして森のようビルの狭間で迷える二人   青木初枝

頭から酒かけられるほど酒好きな俺ではないと墓なる父は   赤梨和則

オカリナは売られてをりぬ天上の青よりうすい青い色して   朝山桃花

独り居の女性が飼える黒き犬呼べば尾を振るいとおざなりに   稲垣保子

食卓のトマトが鬼の心臓に見ゆると君に言ひてさびしき   苅谷君代

賛も否も表明できぬ会議にてハトサブレーを小さく割りおり   久保田和子

着替へたる背広のままで椅子深く眠る客あり胸に手を置き   黑田英雄

次の世も女でありたし望むのは何か一つの才能持ちて   越川幸子

カーテンを全て引き開け父は座す 九十八歳を居眠らぬため   斎藤賢悦

降るときも消えゆくときも音のなく雪の白妙むかしも今も   西崎信子

四月から確実に変わる生活の不安要素に絵文字を付ける   水口典子

参列者の多少によりて人の価値計る友より離れて立ちぬ   邑岡多満恵

山をおりて茶房にケーキを注文す恋人を呼ぶように「ポンヌフ」   山下裕美

正座して犬が信号待つゆえに赤信号を今朝は渡らぬ   関野裕之
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by 31life | 2008-05-20 16:47 | My Favorite  

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