カテゴリ:掲載短歌( 32 )

 

塔12月号掲載短歌

解散せしバンドのCD聴きたればふいに眼前モノクロになる   飯村みすず

足元の土の歴史を言ふときの君の瞳は黒鍵のいろ

母さんは虫も捕まへられないし足も遅いと吾子に嫌はる

体とか心のどこかが痛いときひとりで家にゐるのは淋し

いつのまにか宝箱がごみ箱になるほどわたし歳とつたのね
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by 31life | 2009-12-28 17:07 | 掲載短歌  

塔 8月号 掲載短歌

<作品2 池本一郎 選>

あの人はあわいみずいろ前髪をふわりなびかせ近づいてくる   飯村みすず

おかしくもないのに笑う藍ふかく沈殿してゆく午前三時に

いっそのことこのアスファルトで果てようか蒸発しそうな夏の朝(あした)に

さようならテールランプが点滅し遠ざかってゆく あなたはだあれ



<百葉集(一首選) 永田和宏選>

いっそのことこのアスファルトで果てようか蒸発しそうな夏の朝(あした)に   飯村みすず



<六月号 黒住選歌欄評  >

すれ違いつつ入りたる三越のトイレの個室にチョコのにおいす   飯村みすず

(以下 市 美穂 評)
実際に体験しなければ生まれてこないような不思議かつ面白い歌。トイレとチョコという組み合わせが作者にとって印象的であったからこそ生まれたのだろう。
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by 31life | 2008-08-15 18:24 | 掲載短歌  

塔 6月号 掲載短歌

   黒住 嘉輝 選

夜半起きて家計簿つける習慣よ吾子は寝言も喃語なりけり   飯村みすず

おちこちの地より歩みて来し人の靴が無限に並ぶ行列

すれ違いつつ入りたる三越のトイレの個室にチョコのにおいす

独身の気軽さなどを聞き続け結婚しない理由は聞かず

子育てもやりがいあって楽しいと言いつつ隠すささくれた指
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by 31life | 2008-06-15 16:38 | 掲載短歌  

塔 5月号 掲載短歌

われの住むマンションリバーアイランド大家の名前は川島さんなり   飯村みすず

ニッポンの教養といふ番組で自慰を語りき太田光は

沈黙後ちひさいなと君は呟く新宿Royal Host(ロイホ)のホットケーキを

皆がみなNHKに出てゐるやうな人ではないさ紅茶がにがい

話などうはの空にてバイトせぬ君のヴィトンのバッグを見てをり
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by 31life | 2008-05-18 23:02 | 掲載短歌  

塔 4月号 掲載短歌

冷蔵庫開ければ貴方の牛乳が腐つて隅に収まつてをり   飯村みすず

木星の地表のごとくどんよりと澱んでをりぬマグカップの中

ゆつたりと珈琲飲みつつ暇なふり眠いふりなどひとりぼつちで

電球の青紫の残像を追ひかけてゐる眠れないので

真冬には木綿が美味い豆腐切るやうに私を捨てたをとこよ

<百葉集>永田和宏選

真冬には木綿が美味い豆腐切るやうに私を捨てたをとこよ
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by 31life | 2008-04-15 22:50 | 掲載短歌  

塔 3月号 掲載短歌

消音のまま動きゐるくちびるの濡れた表皮を見てをり我は  飯村みすず

こうやつて貴方をぢつと見てゐると貴方が誰かわからなくなる 

近づいて通り過ぎ行くせつなさよ今日もこの駅には止まらない

駆け足でのぼる歩道橋の上 無彩色になりさうな青

蟻みつめあのねあのねを繰り返す君 わたしのバスが行つてしまふよ
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by 31life | 2008-03-18 13:07 | 掲載短歌  

塔 2月号掲載短歌

「ライターを貸してください」「いいですよ」混凝土に弱気が集ふ   飯村みすず

人間のつくりし世こそ悲しけれ卵産まぬトリ廃鶏と呼ばる

廃鶏はブロイラーと似た味がすると聞けば少し安堵す

鳥ならば廃鶏である母親のおだやかに手袋を編みをり

何も彼もあたしを馬鹿にしやがつてププリリプリリ発車のベルも

A6の短歌手帳の隅に書くドラゴンクエスト攻略マップ
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by 31life | 2008-02-15 02:48 | 掲載短歌  

NHK全国短歌大会受賞短歌

詠題の部 秀作受賞 (佐佐木幸綱・川野里子選) 

夕まぐれあなたのいなくなった部屋に私の声が散乱している   飯村みすず
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by 31life | 2008-01-26 02:41 | 掲載短歌  

塔 1月号 掲載短歌

猫餌をあまたの皿に移しゆく調合のごとき吾子のまなざし

知つてゐる男がテレビで唄ふのを家計簿をつけながら見てゐる

ストレスに弱き私は今日もまたニュースの途中でテレビを消しぬ

意図的に人を傷つけし日の夜に鏡を見つむる私のかほは

団地の裏で茶色く朽ちし自転車は雑草の蔓につつまれ眠りぬ    飯村みすず
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by 31life | 2008-01-20 14:45 | 掲載短歌  

平成19年、自作短歌マイベスト

今年発表した自作短歌のなかから、お気に入りをまとめました。
それぞればらばらに発表しているので、現かな・旧かなが混ざっていますがあしからず。

いきてゐる証欲しくば天睨み恨めしき色をつけよ蒲公英    飯村みすず

錆びつきし自転車乗ればどこからか淋しき音の静かに出でぬ

誰もゐぬ居間に座りて淋しさと自由のあはひに背骨を鳴らす

時間切れ、「12」のところで秒針が我の背中に斬りかかりをり

飲み会に誰とも語らず佇めばどこにも私がいないいないいない   

よし今日は風呂の掃除をすると決め眼鏡をかけて風呂に入りぬ   

幼かりし写真のわれと向かい合い夢破れしと謝りにけり

酔い果てて辿り着きしは駐輪場車輪カバーがぬるりと光る

突然に止まった少女のスカートが立ち止まれずにふわりと進む

病室で死にゆく人が生き残る人の写真を撮りてほほえむ
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by 31life | 2007-12-31 01:14 | 掲載短歌