カテゴリ:掲載短歌( 32 )

 

塔 7月号

<若葉集>入会一年目の会員欄。

出勤前テレビの上に眠りゐる猫のしつぽで天気が見えぬ   飯村みすず

赤門の宣伝カーの走り過ぐ牛の鳴き声BGMに

殺人者彷徨ふ街にわれと子をおいて遊びに行かうといふの

寝室に夫とをさなご眠りをり咲かせるごとく同じ口して

<花山多佳子評>
出勤前テレビの上に眠りゐる猫のしつぽで天気が見えぬ 

猫はテレビの上が大好き。画面にしっぽを垂らすとは。この時間帯と「天気が見えぬ」がいかにもコミカルで、笑いを誘う。
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by 31life | 2007-07-15 23:31 | 掲載短歌  

短歌7月号

秀逸(伊藤一彦選)

純粋に澄む青空にみどりごの落書きのごと白線ひとつ

佳作(蒔田さくら子選)

マゼンタに染む夕焼けを突き抜けて電車は夜の住宅街へ
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by 31life | 2007-06-25 22:27 | 掲載短歌  

短歌研究7月号

佳作(高野公彦選)

ひさかたの故郷なれば街並が水面のごとくぼんやりとせり

雪だるま作りし後のかじかんだ手を思い出す雪なき冬に
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by 31life | 2007-06-20 22:25 | 掲載短歌  

塔 6月号

<若葉集>入会1年目の会員欄

ためらいし心をよそに滑り台滑るがごとく盛岡に着く

二人死に二人出て行き三人になりし屋敷は薄暗かりき

幼かりし写真のわれと向かい合い夢破れしと謝りにけり

味噌汁の香りと包丁リズミカル母はますます猫背になりき

おしめ替え柔い飯を炊く母と呆けた祖母に血脈はなし

リビングのシーリングライト切れたるは日常にして私もふれず

玄関に祖母の折鶴佇めり手の器用さは受け継がれている
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by 31life | 2007-06-15 22:19 | 掲載短歌  

短歌6月号

特選(栗木京子選) 秀逸(田井安曇選)

蛇口あけ疲れて泣きし台所ミルク缶だけそれを見ている

<栗木京子評>
「ミルク缶」は乳児用の粉ミルクの缶であろうか。
生まれて間もない乳児の授乳は数時間おきに行わねばならず、本当に大変である。ミルクを調合しようとして疲労のためつい涙が出てしまった。共感を呼ぶ場面である。「泣きし」とあるがそれ以上に感情をあらわにせず、ミルク缶に視点を絞って状況を描写したことで客観性備わり、説得力のある歌になっている。



佳作(加藤治郎選)

酔い果てて辿り着きしは駐輪場車輪カバーがぬるりと光る
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by 31life | 2007-05-25 01:06 | 掲載短歌  

短歌研究6月号

バギーが他人にぶつかるたびにぺこぺこと汗かく傍で眠るおさなご

馬場あき子選
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by 31life | 2007-05-20 01:14 | 掲載短歌  

塔 5月号

<若葉集>入会一年目の会員欄

道端に太陽数える少女いて一緒にかぞえていたい陽だまり

突然に止まった少女のスカートが立ち止まれずにふわりと進む

ほろほろと額に張りつく桜色たしかに世界は情緒化している

おもむろにべろりと出した赤舌にピアスのごとくはりつく錠剤

不幸なのがいやなのではなく不幸だとおもわれるのがいやだと泣いた

<澤辺元一評>
突然に止まった少女のスカートが立ち止まれずにふわりと進む

一見稚拙なところを残しているように見えながら、その場の情景がくっきり浮かび上がってくる。
「ふわりと」という擬態語が生きた作品。

<百葉集>一首選

突然に止まった少女のスカートが立ち止まれずにふわりと進む

<永田和宏評>
おもしろい一瞬を捉えた。結句「ふわりと進む」がうまい。少女はすっと立ち止まったのに、スカートのほうはそうすぐには立ち止まれない。スカートも別の個体であるかのように「立ち止まれずに」としたところがおもしろいのである。
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by 31life | 2007-05-15 01:00 | 掲載短歌  

短歌5月号

佳作  田井安曇選


アラーキーのA2の薔薇は内臓のごとく真赤にふくらかなりき


秀逸  加藤治郎選
        

夜半に鳴る携帯電話のバイブレーターわれの心臓ともに震える

<加藤治郎評>
真夜中の携帯電話の着信。緊急事態か、あるいは恋人からの電話を思ってもよい。いわゆるマナーモードにしていたのだ。携帯電話のバイブレーションと、心臓の震えが共振する。携帯電話は胸ポケットにあったのかもしれない。三句目は破調だが、この荒っぽさが魅力的である。
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by 31life | 2007-04-25 00:07 | 掲載短歌  

短歌研究5月号

中庭にいるはずのない父がいてキャッチボールをしている5月

       以上 佳作  馬場あき子選
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by 31life | 2007-04-20 00:01 | 掲載短歌  

短歌4月号掲載作品

快晴の空が真黒に見える今日ごめんなさいと何度言ったか

以上 佳作
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by 31life | 2007-03-25 00:00 | 掲載短歌