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短歌 9月号

公募短歌館 
 
【秀逸】伊藤一彦選
飲み会に誰とも語らず佇めばどこにも私がいないいないいない   飯村みすず

【佳作】松平盟子選
時間切れ、「12」のところで秒針が我の背中に斬りかかりおり
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by 31life | 2007-08-26 22:36 | 掲載短歌  

短歌研究 9月号

短歌研究詠章 高野公彦選

【準特選】
錆びつきし自転車乗ればどこからか淋しき音の静かに出でぬ

誰もゐぬ居間に座りて淋しさと自由のあはひに背骨を鳴らす

両足を歪んだ河に沈めればみづ淋淋と足に巻きつく

淋しきは流れ消ゆること今日もまたタンクの右横レバーを捻る

ひたひつけ外の淋雨を眺むれば小さな苗木はしなだれ揺れる  飯村みすず

●選後感想(高野公彦評)
「淋」という漢字を自ら題として読んだ五首。
全体を流れる透明な空気に、作者の孤独が溶け込んでいる。
「淋しさと自由のあはいに背骨を鳴らす」「みづ淋淋と足に巻きつく」
など身体感覚を詠む事で、歌に深みが出た。

新人賞予選通過作品

いきている証欲しくば天睨み恨めしき色をつけよ蒲公英

我が知らぬ世界を昨日照らしいし太陽は我と再会したり  飯村みすず
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by 31life | 2007-08-25 22:24 | 掲載短歌  

My Favorite 塔8月号

月集、作品1、作品2、若葉集、新樹集より、お気に入りを。

<GOLD Favorite>
目頭に涙ひとつぶ落とししとき母はわが手をつよく握りぬ   中島扶美恵
ひぐらしの声を最後の記憶とし父は逝きたりぐらりと揺れて   数又みはる
社章鋭(と)く陽に光らせて群れてゐるあはれ日本の男らの春   岡部史

<SILVER Favorite>
死ぬるとき前髪を探るしぐさすと翌日聞いて悲しかりしよ   浜崎純江
シートベルトさえしていれば今も在る人なり名刺の角を折る   林田幸子
その親に殺められたる子供らは神が親より取り上げしならん   荒井直子
甘えたる口調の車内アナウンスながれてどつと疲れを覚ゆ   後藤悦良
エプロンをはずせばわが身はゆっくりとそこにかしこに紛れてゆけり   遠田有里子
雨の日の古書店の棚しっとりとサガンの恋も黴臭くあり   黒瀬圭子
あまりにも小さき猫のないてゐるひとつひとつの歯もないてをり   大橋智恵子
同じ数眠りと目覚め重ねきて目覚めが最後少なかり一度   筑井悦子

<BRONZE Favorite>
遺影みなモノクロなるも妹のこの服の色私は知っている   津野多代
ひとさじのおかゆ飲むたびおさなごはこの世のひとの声になりゆく   川﨑香南子
千円札のみどりの色が生えてくる能登行きのカンパの空壜に   梶原さい子
姓名も体も心も気に入らぬなすすべもなき鏡中の闇   豊田厚二
子を抱きて眠いる娘のまなじりのうすく翳りて痩せているなり   土肥朋子
たわやすくごめん、ごめんと言うようになりし母なりゆえに手ごわし   竹田千寿
面接で人が好きかと尋ねられつるつる嘘をつく人になる   相原かろ
蛍って何だかただの虫だねとやはり翌朝あいつは言った   乙部真実
ヒール少しある靴穿いてみたくなり売場に行きてそっと触れたり   早川洋子
木々は萌え門出の四月われは娘に花を手向ける身とはなりたり   福政ますみ
英単語柱に貼ってお祭りのように試験は通り過ぎたり   藤田千鶴
感情は殺すことなくゆったりと君の腕にしめられてゆく   国森久美子
自己評価があなたは低いと指摘され汝の評価に縛らるるを知る   菊沢宏美
この僕を一体誰が見るのだろう防犯カメラに向かってピース   五宝久充
歳月が俺を罵りやまぬから向日葵の種ひとつぶ握る  鈴木俊春
わたくしが迷子であるアナウンス流れ二才の息子は待てり   秋野道子
ある日ぽとり椿のやうに落ちるのもいいかもしれぬ嫌はれぬうち   船曳弘子
胴体を編み上げ走る血管が青く浮き出す薄き皮膚から   中山悦子
この児らと生きむと決めし夏の日の光を掴みそこねしわれか   伊藤恵理子
たこやきを出店で買ってひとりなり端っこでもいい見よう桜を   徳重龍弥
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by 31life | 2007-08-18 21:37 | My Favorite  

塔 8月号

鍋の中灰汁の渦を眺めゐるこれが一生続くのである

炊飯器開ければ御飯の真ん中に三角ブロックぶつさしてあり

股間より覗き込みゐるみどりごに逆さの我はほほゑみかへす

約束の指輪はいつまで輝くか紅さしゆびを空にかざせり

みどりごが目覚むるほどの落雷があり五秒後に葉に雨落つる音   飯村みすず
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by 31life | 2007-08-15 14:46 | 掲載短歌