タグ:「塔 」掲載短歌 ( 15 ) タグの人気記事

 

塔 9月号 掲載短歌

洗濯機のスイッチ入れればさり気なく夫はテレビのボリューム上げる  飯村みすず

字の書けぬ息子はなぜか家中のえんぴつ集め箱に隠せり

そんなにも涙を流して泣きをればママは溺れ死んでしまふよ

泣きつかれ眠れよ眠れみどりごよ明日は一ミリ大きくならむ
[PR]

by 31life | 2007-09-15 15:30 | 掲載短歌  

塔 8月号

鍋の中灰汁の渦を眺めゐるこれが一生続くのである

炊飯器開ければ御飯の真ん中に三角ブロックぶつさしてあり

股間より覗き込みゐるみどりごに逆さの我はほほゑみかへす

約束の指輪はいつまで輝くか紅さしゆびを空にかざせり

みどりごが目覚むるほどの落雷があり五秒後に葉に雨落つる音   飯村みすず
[PR]

by 31life | 2007-08-15 14:46 | 掲載短歌  

塔 7月号

<若葉集>入会一年目の会員欄。

出勤前テレビの上に眠りゐる猫のしつぽで天気が見えぬ   飯村みすず

赤門の宣伝カーの走り過ぐ牛の鳴き声BGMに

殺人者彷徨ふ街にわれと子をおいて遊びに行かうといふの

寝室に夫とをさなご眠りをり咲かせるごとく同じ口して

<花山多佳子評>
出勤前テレビの上に眠りゐる猫のしつぽで天気が見えぬ 

猫はテレビの上が大好き。画面にしっぽを垂らすとは。この時間帯と「天気が見えぬ」がいかにもコミカルで、笑いを誘う。
[PR]

by 31life | 2007-07-15 23:31 | 掲載短歌  

塔 6月号

<若葉集>入会1年目の会員欄

ためらいし心をよそに滑り台滑るがごとく盛岡に着く

二人死に二人出て行き三人になりし屋敷は薄暗かりき

幼かりし写真のわれと向かい合い夢破れしと謝りにけり

味噌汁の香りと包丁リズミカル母はますます猫背になりき

おしめ替え柔い飯を炊く母と呆けた祖母に血脈はなし

リビングのシーリングライト切れたるは日常にして私もふれず

玄関に祖母の折鶴佇めり手の器用さは受け継がれている
[PR]

by 31life | 2007-06-15 22:19 | 掲載短歌  

塔 5月号

<若葉集>入会一年目の会員欄

道端に太陽数える少女いて一緒にかぞえていたい陽だまり

突然に止まった少女のスカートが立ち止まれずにふわりと進む

ほろほろと額に張りつく桜色たしかに世界は情緒化している

おもむろにべろりと出した赤舌にピアスのごとくはりつく錠剤

不幸なのがいやなのではなく不幸だとおもわれるのがいやだと泣いた

<澤辺元一評>
突然に止まった少女のスカートが立ち止まれずにふわりと進む

一見稚拙なところを残しているように見えながら、その場の情景がくっきり浮かび上がってくる。
「ふわりと」という擬態語が生きた作品。

<百葉集>一首選

突然に止まった少女のスカートが立ち止まれずにふわりと進む

<永田和宏評>
おもしろい一瞬を捉えた。結句「ふわりと進む」がうまい。少女はすっと立ち止まったのに、スカートのほうはそうすぐには立ち止まれない。スカートも別の個体であるかのように「立ち止まれずに」としたところがおもしろいのである。
[PR]

by 31life | 2007-05-15 01:00 | 掲載短歌